第三十一話

何か金庫を開けるいいものはないかと外の空き地を三人でウロウロと探しているうちに、信一が外の机の引き出しの奥からハンマーとマイナスドライバーを見つけてきた。

「じゃんじゃじゃ~ん。」

と信一は手にハンマーとドライバーを持ちニカッと笑った。

「おぉっ!それならいけそうだっねっ!!」  

「なんだか運が良すぎて恐いみたい......。」


マイナスドライバーを蓋の隙間に突っ込みハンマーでガンガンと叩く。

見た目とは違い意外に頑丈だ。蓋の隙間はだいぶ広がったがそれでもなかなか壊れてはくれない。

三人がかわるがわる二十分は叩いたが、金庫の形自体はかなり変形したもののまだ蓋は開かなかった。


「うわ痛ぇっ!!ちきしょー、何だよコイツ!」

手元が狂って指を叩いてしまい、苛立った信一がハンマーで金庫を思い切り「ガン」と叩くと「パコッ」と音がして蓋が外れた。

「よっしゃ、やったぁ!」


「!!!!」


「うわぁ......。」

「す...凄ぇ......。」

ひっくり返った手提げ金庫の中からは大量の紙幣がバサッと出た。
それは全て一万円札だった。

「いったいいくらあるんだろう......。」

真ん丸な目をした博史に軽く頷き由佳が紙幣を数えはじめる。

「1枚...2枚...3枚......。」

「...10枚...11...12...。」